業務改善

介護の給食集計、ソフトを買う前に。転記をなくしたら月5日が2日になった業務分解

この記事の要点

  • 給食の集計が重いのは、計算そのものより集めた数字を別のシートへ転記するところです。ここで時間が溶け、ミスも出ます。
  • 私がやった順番は、集計を速くするより先に「入力そのものをなくす」こと。シフトと利用者マスターから食事データを作り、人が手で入れるのは「増食・減食」の差分だけにしました。
  • 献立は1〜2ヶ月先、検食簿と食数の集計はその月が終わってから。同じ給食でもタイミングが別です。ここを混ぜると自動化はうまくいきません。
  • 全部は自動化しません。カレンダーの丸=食事、二重丸=検食のように、使う人が見て分かる範囲で止めました。毎月5日ほどかかっていた集計が約2日になりました。
  • 「まだExcelで粘るか、ソフトへ移るか」の判断は別記事にあります。ここでは、手元でどう分解したかに絞ります。

「介護 給食 集計 効率化」で調べると、給食管理ソフトや配食サービスの比較ばかり出てきます。書いてある製品が悪いわけではありません。ただ私は、その手前に、まだ手元でやれることがあると思っています。

私は給食ソフトの会社の人間ではありません。外部から介護・障害福祉の業務改善を支援する立場で、現場のExcelに手を入れて、毎月の作業時間を実際に削ってきました。給食まわりで言うと、月に5日ほどかかっていた集計が、約2日まで縮みました。

この記事では、その時に私がどんな順番で業務を分解したのかを、正直にお話しします。ソフトを売る話ではありません。「集計を速くする前に、何を先にやったか」の話です。

紙・口頭・別シートへの転記が入力・集計・出力の1本の流れに整う給食集計の改善前後

給食の集計、なぜ毎月これほど時間がかかるのか?

結論:給食の集計が重いのは、足し算そのものではなく「あちこちに書いた数字を、別のシートへ転記する」ところです。転記が多いほど、間違いも確認も増えていきます。

現場では、その日に誰が何を食べたか、減食だった人が何人か、増食だった人が何人かを、紙やExcelにその都度書いていきます。ここまではいいんです。問題はこのあとでした。

月末になると、そうやって書いた数字を集計して、提出用の別のシートにもう一度書き写す。私が見ていた現場では、この転記が一番時間を食っていました。しかも、写し間違いがよく起きます。

間違いが起きると、今度は「この数字、合っているかな」と見直す時間が増えます。集計そのものより、転記と、その確認で1日がつぶれていく。これが給食集計の正体でした。

日々の記録を提出用シートへ手で転記すると写し間違いと確認のやり直しが生まれる構造

効率化の前に、給食業務はいくつの工程に分解できるのか?

結論:給食を「1つの作業」として見ると詰まります。まず「献立を作る」「検食を記録する」「食数を数える」の3つに分けてください。分けると、どこが重くて、どこが自動化できるのかが見えてきます。

私が支援した現場でも、担当の方は給食まわりを「1つの作業」として話していました。でも中身を開けてみると、性質の違う工程が混ざっていました。

  • 献立を作る:先の月の分まで用意しておく作業
  • 検食を記録する:誰が検食の当番だったかをつける作業(検食簿)
  • 食数を数える:その日に何食出たか、増食・減食は何人かを数える作業

この3つは、やるタイミングも、必要な情報も違います。1つの塊のまま速くしようとすると、どこから手をつけるか分からなくなる。だから最初に、塊をほどきました。

スガヤン
業務改善コンサル視点: 業務分解のねらいは、一番遅い工程を見つけることです。全部をまとめて速くしようとすると、たいてい手が止まります。「この作業は、入力・計算・出力のどれで詰まっているのか」。そこまでほどくと、直す場所が1つに絞れます。私はいつも、速くする前にこの「ほどく」作業に一番時間をかけます。
給食の集計を献立・検食簿・食数の3工程に分けた業務分解図

最初に手をつけるべきは「集計」ではなく「入力」では?

結論:集計を速くする前に、入力そのものを減らします。私は、人が手で数字を入れる場所を先に消しました。手で入れる数字が減れば、転記もミスも自然に減ります。

ほどいてみて分かったのは、重かったのは計算ではなく「手で入れて、写す」ことでした。だから私は、集計の関数を作り込むより先に、そもそも入力しなくていい形を作りました。

やったことは2つです。

step
1
職員の食事は、シフトから作る:シフトを組むと、その職員が朝・日中・夕のどこにいるか、そしてお弁当ではなく施設の食事を取るのかが決まります。だったら、シフトのデータから食事のデータを作って読み取ればいい。食事のために、もう一度入力する必要はありません。


step
2
利用者の食事は、マスターから数える:利用者の方は、この人は朝昼夕を食べる、という基本が事前に分かっています。それをマスター(基本の一覧)で管理して、そこから食数を数えるようにしました。

この2つで、人が手で入れるのは「増食するか、減食するか」の差分だけになりました。いつもと違う日だけを入れればいい。決まっていることは、二度と入力しない形です。

スガヤン
業務改善コンサル視点: 入力を「速く」するのではなく、入力する場所を「減らす」。ここが分かれ目です。入力欄をきれいにしても、手で打つ限りミスは残ります。でも、決まっていることを別の場所(シフトやマスター)から持ってくれば、その分の入力と転記がまるごと消えます。私が最初に探すのは、いつも「二度入力している場所」です。
シフト表と利用者マスターから食事データを自動生成し増食・減食の差分だけ手入力する流れ

献立は1〜2ヶ月先、集計は月末以降——同じ給食でもなぜ対象月がズレるのか?

結論:同じ給食でも、献立は1〜2ヶ月先の分を作り、検食簿と食数の集計はその月が終わってからやります。対象の月もタイミングも別です。ここを混ぜると、自動化はかえって崩れます。

これは、正直に言うと私が後から気づいて苦労した部分です。最初、給食を「1つの作業」として1つのファイルにまとめようとしたら、うまく回りませんでした。

理由は、工程ごとに「いつやる作業か」が違ったからです。

工程 いつやるか 対象の月
献立を作る 前もって 1〜2ヶ月先
検食簿・食数の集計 あとから その月が終わってから

献立は、来月・再来月の分を先に用意しておかないと間に合いません。一方で、検食簿や食数は、実際に食べたあとでないと数字が確定しません。片方は「先」、片方は「後」なんです。

ここでつまずきました: 「給食の集計」とひとくくりにして、全部を月末にまとめてやろうとすると、献立が間に合いません。逆に全部を先にやろうとすると、食数がまだ確定していない。1つの作業に見えても、やる時期が違う工程は、別のものとして分けて設計しないと回りませんでした。

献立は1〜2か月先に準備し検食簿と食数は月末以降に集計するタイムライン

検食簿と食数カウントは、どこまで自動化してよいのか?

結論:全部は自動化しません。使う人が画面を見て分かる範囲で止めます。私は、カレンダーの丸=食事、二重丸=検食のように、見た目で直感的に分かる一部だけを自動にしました。

技術的には、もっと自動化することもできました。でも、あえてやりませんでした。全部を機械に任せると、担当のAさんが「今どうなっているか」分からなくなるからです。

中身が見えないままだと、その人が休んだ日に誰も触れません。それは、速くなったように見えて、新しい属人化(=その人しか分からない状態)を作っているのと同じです。せっかく属人化を減らそうとしていたのに、本末転倒になります。

だから私は、直感的に分かる連動だけを残しました。カレンダーに丸がつけば食数が増える、二重丸をつければ検食数が増える。使う人が見て「なるほど、こうなっているのか」と追える範囲です。

それと、変えたことで増えた作業もあります。休みや希望をGoogleフォームで送ってもらう形にしたら、送った本人が「あれ、いつ送ったっけ」と忘れたり、間違えたりが起きました。なので、送信済みが本人にも分かる確認の仕組みを足しました。確認の手間は、むしろ増えた部分もあります。正直なところです。

スガヤン
業務改善コンサル視点: 自動化のゴールは「全部を機械にやらせる」ことではありません。「使う人が安心して回せる」ことです。中身が見えないブラックボックスを作ると、速くはなっても現場は不安になります。私はいつも、8割くらいを仕組みに載せて、最後の微調整は人の手に残します。全部やろうとしないのが、長く使ってもらうコツです。
カレンダーの丸を食事・二重丸を検食として担当者が状態を追える直感的な画面

ソフトを買う前に、手元のExcelでどこまでできるのか?

結論:給食の集計は、専用ソフトを入れなくても、手元のExcelとマスター連携でかなり減らせます。私が支援した現場では、この分解だけで月5日ほどが約2日になりました。

「介護 給食」で検索すると、ソフトの比較や配食サービスの案内が並びます。もちろん、ソフトが向く場面はあります。ただ、その前に手元でやれることが、意外と残っています。手元のExcelが向くのは、こういう部分です。

やりたいこと 手元のExcelで足りる 専用ソフトの領域
決まった入力を減らす 得意(シフト・マスター連携) —
食数の集計・検食簿の記録 得意 —
栄養価計算・アレルギー管理 — 専用ソフト
献立の自動作成 — 専用ソフト

栄養価やアレルギーのように、専門的で間違いが許されない部分は、私は無理にExcelで抱えませんでした。ここは給食・栄養の専用ソフトの領域です。手元で減らせるのは「決まった入力と、集計の手間」まで。線を引いておくと、どちらも安全です。

なお、記録・請求・経営までまとめて見る介護ソフトの話は、給食とは別の領域です。そちらを比べたい方は介護ソフトの比較にまとめています。

入力削減と食数集計はExcel・栄養価計算と献立自動作成は専用ソフトと分けた領域図

この分解のやり方は、他の集計業務にどう転用できるのか?

結論:「1つに見える作業を工程に分ける → 入力を減らす → タイミングで分ける → 全部は自動化しない」。この順番は、給食以外の集計でも同じように効きます。

私はこの順番を、給食だけでなく、ほかの毎月の集計にも当てはめてきました。

  • シフト作成:希望を先に集めて、原案を自動で作る。細かい調整は最後に人がやる。手順は介護施設のシフトをExcelで作る限界にまとめています。
  • 工賃の計算:就労支援の工賃も、入力元を1か所に決めるところから始めると、転記が減ります。
  • 請求前の集計:数字を集める工程と、確定させる工程を分けて考えると、月末の詰まりが軽くなります。

やっていることは、給食と同じです。重いのはたいてい「入力と転記」で、そこを先に減らす。この考え方の土台には、担当者しか分からない状態を減らす属人化の解消があります。

まだExcelで粘るべき施設、ソフトへ移るべき施設は?

結論:ここは、この記事で抱え込みません。手元のExcelで粘れるか、介護ソフトへ移るべきかの判断軸は、別記事にまとめてあります。

ざっくりした目安だけ書いておきます。

  • 単一拠点で、入力する人が少なく、月次の集計で足りている → まだExcelで粘れることが多い
  • 多拠点・多人数入力で、記録や請求まで含めて日々の確認が要る → 移行を検討する時期

この判断を、拠点数・入力者・集計頻度・業務範囲・直せる人・データ量の6つで切り分けた表が介護ソフト、まだExcelで粘れる?にあります。給食の集計を分解したうえで、それでも重いと感じたら、そちらで「粘るか、移るか」を見てください。もしマクロが止まる・壊れるが頻発しているなら、Excelマクロが動かないときの確認ポイントもあわせてどうぞ。

この記事はどんな人に向いている?向いていない?

結論:給食の食数・検食簿・献立の集計に、毎月時間を取られている介護・障害福祉の現場の方に向いています。栄養価計算そのものを深く知りたい方には、専用ソフトや専門書のほうが向いています。

  • 向いている人
  • 給食の食数集計や検食簿を、いまも手作業でやっている
  • 集計より、別シートへの転記と確認で時間が溶けている
  • いきなりソフトを買う前に、手元でどこまで減らせるか知りたい
  • 担当が辞めても回る形にしたい
  • 向いていない人
  • 栄養価計算・アレルギー管理・献立の自動作成を深く知りたい(専用ソフトの領域)
  • 記録・請求・経営まで一元化したい(介護ソフト比較へ)
  • Excelを一切触らず、すべて外注したい

よくある質問

Q1:検食簿はExcelで作れますか?

作れます。私は、誰が検食の当番だったかと、日々の食数を記録・印刷できる形にしました。ただし、Excelで作るときも「入力を減らす」考え方を先に入れてください。毎日ゼロから手で書く作りにすると、結局は手間が残ります。

Q2:食数管理でよく使う関数は何ですか?

マスターから数を引いてくるならVLOOKUPやSUMIFがよく使われます。ただ、この記事で伝えたいのは関数の名前ではありません。関数を覚える前に、「そもそも手で入力しなくていい形」を作るほうが、効果はずっと大きいです。

Q3:VBAやマクロは、素人でも作れますか?

VBA(Excelを自動で動かす仕組み)は、小さな自動化なら学びながら作れます。ただし、作った人しか直せない状態になると、それは新しい属人化です。私は、使う人が中身を追える範囲にとどめるようにしています。全部を自動にしないのは、そのためでもあります。

Q4:給食の集計は、全部自動化すべきですか?

私は全部はしませんでした。使う人が見て分かる範囲で止めています。全自動にすると、その人が休んだ日に誰も触れなくなります。速さより、誰でも回せることを優先しました。決まった判断だけ仕組みに任せ、迷う部分は人が確かめる形にしています。

Q5:使う人が辞めても回りますか?

そのために、あえて中身が見える形にしています。カレンダーの丸で食事、二重丸で検食、というように直感的に分かるようにしておくと、引き継ぎが楽になります。ブラックボックスを作らないことが、辞めても回る形につながります。

Q6:給食管理ソフトとは何が違うのですか?

給食管理ソフトは、栄養価計算や献立の自動作成など、専門的な部分に強いです。この記事は、その前段の「決まった入力を減らして、集計と転記の手間を削る」ところの話です。栄養価やアレルギーは専用ソフトの領域、手元の入力削減はExcelの領域、と線を引くのが安全です。

まとめ:ソフトを探す前に、まず「入力」を消すところから

結論:給食の集計を軽くしたいなら、集計を速くする前に、決まっている入力を消してください。そのうえで、工程を時期で分け、全部は自動化せず、使う人が追える形で止める。この順番で、私が支援した現場では月5日ほどが約2日になりました。

もう一度、順番だけ整理します。

  1. 「給食の集計」を、献立・検食簿・食数の工程に分ける
  2. 集計より先に、シフトとマスターから「入力そのものをなくす」
  3. 献立は先、集計は後。対象の月が違う工程は分けて設計する
  4. 全部は自動化せず、使う人が見て分かる範囲で止める

ここまでやっても重い、あるいは記録・請求までまとめたいとなったら、そこで初めてソフトやシステム化を考える順番でいいと思います。どの業務をどこまで移すか迷ったら、1社だけでなく複数の会社に同じ条件で相談すると、話が偏りにくくなります。

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著者情報

スガヤン(外部から介護・障害福祉の業務改善を支援)

中小企業と介護・障害福祉領域の業務改善を、外部の立場で支援しています。給食ソフトの会社ではなく、現場のExcelに合わせて業務を分解し、入力と転記の手間を減らしてきました。この記事で実体験として扱ったのは、給食・食数・検食簿の集計の分解、入力そのものをなくす設計、そして「全部は自動化しない」という落としどころまでです。栄養価計算やアレルギー管理の専門判断は専用ソフト・専門職に任せ、私は手元の入力・集計・転記を減らすところに絞っています。

最終更新:2026-07-01

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